木村紅美

「ゆうべ、ちらっと言ってましたけど。東京、いたことあるんですか」 「ええ、だれも自分を知らない街に住みたくなって。でも、ってまともな仕事に就けなくて。毎月、家賃を払えるかどうか綱渡り状態できつくて、あと、母が倒れたのでこっちへ戻りました」 「おれも、いたことあるんですよ、東京。似た感じでこっちへ戻りました」